日通川崎事件・上告審 意見書要旨
米津孝司 (中央大学法科大学院教授) はじめに 本件原審の判断には法の解釈・適用における看過し得ない過誤があり、最高裁における慎重な審議が期待される。上告審においては、あらためて日立メディコ最高裁判決をはじめとする雇止め法理と労契法18条・19条の趣旨・目的にそくしたあるべ...
寺西重郎『日本型資本主義』(中公新書)書評
戦後日本の社会科学方法論は、煎じ詰めればマルクス・ウエーバー問題であったと言って良い。私自身は、マルクス主義やマルクス主義的な批判理論におけるエートス問題の把握の仕方に満足できず、その後、ルーマンのシステム理論とスピノザのエチカ論によって、ようやくある程度の方向性は見えてき...
土俵際の法理としての「自由意思の法理」
現代における強行法の実効性は、国家権力(統合力)によって担保されている。従って強行法規の果たす役割は、各国における国家権力(広義、すなわちグラムシが言うところの歴史的文化的ブロックによるヘゲモニー装置としてのそれ)のあり様に応じて、かなり大きな性質の違いをもたらす。英米法系...